結論:
- 原則◯(米国株の過去データでは20年ローリングの名目トータルリターンがマイナスになった例は見当たらない) crestmontresearch.com
- ただし保証×(日本株では20年でもマイナスになった期間が実際にある) マクロトレンド+1
- 積立は“下振れに強い”が、平均成績は一括投資に劣りがち(だからこそ“精神衛生と継続性”で選ぶ) バンガード+1
なぜ“20年”なのか?——振れ幅は「時間」で小さくなる
長期になるほど、年率リターンの最高値〜最低値のレンジ(振れ幅)が縮むのが歴史データの定番パターン。J.P.モルガンの「Guide to the Markets」でも、1年<5年<10年<20年と、期間が長いほど“最悪ケース”が改善していく図表が示されています。 JPMorgan+2JPMorgan+2
図1|保有期間が長いほど“振れ幅”は小さくなる(概念図)
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ポイント
- “長期”は損しない魔法ではなく、損をしにくくする確率論。
- 長期+分散+低コスト+継続の四拍子で、期待値を底上げ。
事実①:米国株は“20年ローリングで名目マイナスなし”の時代が続いてきた
Crestmont ResearchのS&P500の“20年ローリング年率リターン”(配当込み)チャートでは、1919〜2024の期間で20年年率がマイナス圏に沈む例は見られないことが読み取れます(インフレ調整前=名目ベース)。 crestmontresearch.com
とはいえ、**インフレ調整(実質リターン)**まで考えると厳しい20年もあり得る点や、10年単位ではマイナスも起こる(例:S&P500の“失われた10年”=2000年代)点は要注意です。 Dimensional
事実②:日本株には“20年でもマイナス”があった
日経平均は1989年の高値を2024年にようやく更新。つまり、30年以上の“元本回復待ち”があったわけで、その途中の多くの20年区間は名目で見てもマイナスでした。**「20年以上なら絶対マイナスにならない」**は、市場・国によっては成立しません。 AP News+1
積立(DCA)は“下振れの痛み”を和らげる
一括投資は平均で有利。Vanguardの比較研究では、およそ3分の2のケースで一括が積立を上回ると結論づけています。ただし、積立は下振れのダメージを軽減し、行動面(メンタル)の継続に効くのが強み。 バンガード+1
図2|下振れ時の“痛み”は積立の方が小さい(概念図)
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図3|中央値では“一括>積立”だが差は小さい(概念図)
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まとめると…
“20年以上でマイナス回避”に近づくための実践チェックリスト
- 分散:国際分散(米国オーバーウェイト可)、業種分散、通貨分散。単一国依存はNG(日本株の歴史が教訓)。 AP News
- 長期:最低20年の覚悟。途中の暴落は前提にする。レンジは時間で縮む。 JPMorgan
- 低コスト:信託報酬は複利の天敵。長期ほど差が効く。
- メンタル設計:暴落時の“買えない・売ってしまう”を防ぐため、自動積立+ルール化(○日・○額)
- 税制:NISAで非課税の複利を最大化。
- 期待値の正しい理解:“原則◯/保証×”—国と時代で違う。データで都度アップデート。
よくある質問(30秒で要点)
Q. 20年未満でも積立する価値は?
A. もちろんある。期間が長いほど“最悪ケース”が改善するだけで、5年・10年でも“積立で下振れ耐性”は上がる。 JPMorgan
Q. いま株価が高い気がするけど始めどき?
A. タイミング当ては難易度が高い。“時間を味方にする”のが王道。 Capital Group EACG+1
Q. どこまで分散すべき?
A. 単一市場に集中しない。米国中心+国際分散のバランスでリスクを薄めるのが無難。 JPMorgan
まとめ
- 米国株の歴史的データでは、20年の名目トータルリターンがマイナスに沈まない時代が続いてきた=“原則◯”。 crestmontresearch.com
- ただし保証×。日本株には20年でもマイナスの現実があった。分散×時間×低コスト×継続で“確率”を上げる。 AP News+1
- 積立は“負けにくさ”の設計。平均は一括優位でも、行動を続けられる仕組みとして強い。 バンガード+1
投資は自己責任。本記事は一般的な情報提供であり、将来の成果を保証するものではありません。
参考・出典(主要)
- J.P. Morgan Asset Management「Guide to the Markets」:保有期間別レンジの図表。 JPMorgan+2JPMorgan+2
- Crestmont Research:S&P500の20年ローリング年率(配当込み)。 crestmontresearch.com
- Vanguard Research:一括 vs 積立(約2/3で一括優位)。 バンガード+1
- AP News/Macrotrends:日経平均が1989年高値を2024年に更新(長期マイナスの現実)。 AP News+1


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